
Label & Tax
ベルギービールが日本で「発泡酒」と表示されるのはなぜ?
ベルギービールを手に取ると、ラベルの品目欄に「発泡酒」と書かれていることがあります。本場ベルギーでは正真正銘のビールなのに、なぜ日本では発泡酒なのか。これは品質の問題ではなく、日本の酒税法上の「分類」の話です。仕組みが分かると、ラベルの見方が変わります。
「発泡酒」は品質の等級ではなく税法上の分類
日本の酒税法では、「ビール」と名乗れる条件が細かく決められています。大きくは、麦芽の使用比率が一定以上であることと、使ってよい副原料(米、コーン、果実、香辛料など)が政令で指定された範囲に収まっていることの2つです。
この条件から外れた発泡性のお酒は、中身がどれほど本格的でも、日本のラベル上は「発泡酒」に分類されます。つまり発泡酒という表示は「安いビール風飲料」という意味ではなく、あくまで税法上の区分にすぎません。
ベルギービールは伝統的に小麦やキャンディシュガー、果実、コリアンダーなどの香辛料を自由に使って個性を生み出してきました。その自由な製法こそが、日本の「ビール」の定義からはみ出してしまう理由です。
2018年の法改正で多くのベルギービールが「ビール」に
改正前(〜2018年3月)
麦芽比率67%以上・副原料は米やコーンなど限定的。香辛料や果実を使うベルギービールの多くは「発泡酒」表示。
改正後(2018年4月〜)
麦芽比率50%以上に緩和され、果実・香辛料など副原料の範囲が拡大。ホワイトビールなど多くの銘柄が「ビール」表示に。
それでも発泡酒のまま
麦芽比率が50%未満のレシピや、副原料が規定の量・種類を超える銘柄は、現在も「発泡酒」と表示される。
転機になったのが2018年4月の酒税法改正です。ビールと名乗れる麦芽比率が67%以上から50%以上に引き下げられ、さらに副原料として果実や、コリアンダーをはじめとする香辛料などが新たに認められました。
これにより、コリアンダーシードとオレンジピールを使うホワイトビール(ヒューガルデンなど)のように、それまで「発泡酒」と表示されていた銘柄の多くが、堂々と「ビール」と表示できるようになりました。
改正前から中身は何ひとつ変わっていません。変わったのは日本側の定義だけ、という点がこの話の面白いところです。
今も「発泡酒」と表示される銘柄の代表例
改正後も発泡酒表記が残る代表格が、フルーツランビックです。チェリーやラズベリーを大量に漬け込むクリークやフランボワーズは、果実の使用量が規定を超えるため、日本では発泡酒に分類されることがほとんどです。
小麦の比率が高い伝統レシピや、糖類を多く使う銘柄も同様です。いずれもベルギーでは何百年も続く由緒あるビールであり、発泡酒という表示から品質を推し量ることはできません。
むしろ「発泡酒と書いてあるのに値段が高い」輸入ビールを見かけたら、それは規格外の個性を持った本格派のサインと考えてよいくらいです。
ラベルで見るべきは品目より「原材料とスタイル」
ベルギービールを選ぶときは、品目欄の「ビール/発泡酒」よりも、原材料表示とスタイル名に注目してください。小麦・コリアンダー・オレンジピールとあればホワイトビール、チェリーとあればクリーク、という具合に、原材料はそのまま味の設計図です。
当サイトの銘柄ページでは、スタイル・度数・味わいチャートをまとめて確認できます。ラベルの分類に惑わされず、中身で選ぶための入口として活用してください。
